名張川24時間測定

図III-3 名張川24時間測定結果
 
調査にあたって
 今回の名張川の調査で、名張川の汚染源として下水道未普及地域の旧市街の生活排水による汚濁負荷がそれほど高くなく、シャックリ川や小波田川などの支川に流れ込む団地排水のほうが汚染源として大きな割合を占めることが分かってきました(名張川調査結果参照)。生活排水の場合、食事の支度や洗濯、風呂排水など一度に大量の水を排水し、時間変動が大きいという特徴があります。そこで、旧市街の生活排水が流れ込む(4)南町6号排水路と団地排水が流入する(13)シャックリ川・宮橋、その上流の名張川本流で(3)城下川取水口、名張川下流の(9)家野橋の4地点で水質の時間変動を観測し、生活排水の影響がどの程度あるのかを調べました。2時間ごとに24時間採水を行い、CODと全窒素を測定しました。
 
生活排水による時間変動
 図III-3の赤の折れ線はCODを示しています。CODの濃度変化で見れば、名張川上流の(3)城下川取水口、名張川下流の(9)家野橋ではほとんど変化が見られませんでした。団地排水が流入する(13)シャックリ川・宮橋では夜10時と朝10時に大きなピークが出現し、生活排水の影響をまともに受けていることが分かりました。旧市街の生活排水が流れ込む(4)南町6号排水路では、夜にはピークは確認されず、朝8時にピークが確認されました。また、全窒素(図III-3の青の折れ線)では(3)城下川取水口、(4)南町6号排水路、(9)家野橋ではピークらしきものはあるものの、右縦軸の目盛りの数値を見ると、それが小さな幅の変動であることが分かります。(13)シャックリ川・宮橋は右縦軸の目盛りの桁が大きく、大きな幅で変動していることが分かります。CODと同様に夜10時と朝10時にピークが出現しました。
 
コミュニティプラント(合併浄化槽)排水の改善を
 シャックリ川に流れ込む排水の多くは団地排水であるコミュニティプラント(合併浄化槽)排水であると考えられます。処理された排水が放流されているはずですが、今回の24時間測定では時間変動も大きく、団地排水がきちんと処理されていないことが分かりました。コミュニティプラントの排水基準はBOD20mg/Lなので、基準を超えているとはいえませんが、現行の基準に合致しているからよしとせず、河川に汚濁負荷を与えないよう排水処理施設の改善が必要だと考えられます。
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会