名張川調査

図III-1 名張川調査結果(年平均値)
 
調査地点の概要
 今回の調査では、名張川上流部で生活排水の影響を受けていないと考えられる(1)四間橋から、名張市の旧市街を通って最下流の(10)五月橋まで、名張川の主な支川の流末と合流後の名張川本流で採水しました。名張川本流では(1)四間橋から(10)五月橋まで10地点、支川は(11)青蓮寺川(糸川橋)、(12)宇陀川(黒田橋)、(13)シャックリ川(宮橋)、(14)小波田川(薦生小橋)、(15)笠間川(波多野橋)の5地点、それと生活排水による影響を調べるために、団地のコミュニティプラント(合併浄化槽)排水である(21)つつじが丘排水路と(23)桔梗が丘第2放流水、名張市街の生活排水が未処理のまま流入する(22)南町6号排水路で採水を行いました。
 
生活排水は河川を汚す
 図III-1の測定結果(年平均値)を見てください。赤の棒グラフはBOD(生物化学的酸素消費量)を示しています。木津川水系の環境基準はA類型で、BODで2mg/Lです。それと比較すると、名張川下流の(9)家野橋ではBODは3.3mg/Lであり、基準を超えていることが分かります。最上流の(1)四間橋と下流の(9)家野橋を比較すると、BODでは約1.4倍、CODでは約1.8倍に値が増加していました。また、支川のうち(13)シャックリ川(宮橋)と(14)小波田川(薦生小橋)の水質が悪く、名張川の水質に影響を及ぼすことが明らかになりました。シャックリ川には今回採水を行っている(23)桔梗が丘第2放流水を含む3つの団地排水が流入しており、また小波田川には工業団地の排水が流入しています。(23)桔梗が丘第2放流水はCOD、BODともに値が高く、これらの排水が支川の汚染源であると考えられました。また、下水道が未普及地域であり、名張旧市街の生活排水が未処理のまま流入する(22)南町6号排水路は団地排水ほど高い値は示さず、旧市街地は大きな汚染源にはなっていないと考えられました。
 以上の結果から、さらに追加調査として支川で汚濁の目立ったシャックリ川調査、名張市旧市街地の生活排水の影響を詳しく調査した城下川調査(名張)、本調査は四季ごとに年4回の調査であるので、名張市の生活排水の経時変動を見るための名張川24時間測定を行いました。詳細は各調査結果を見てください。
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会