柘植川調査

図V-1 柘植川調査結果(年平均値)
 
調査地点の概要
 柘植川は三重県上野市から伊賀町、阿山町と比較的流域が広い河川です。中流で河合川という大きな支流が合流します。柘植川の特徴は周辺にゴルフ場が多いことであり、流域で6ヶ所もあります。
 前回の第4期調査(上野市河川調査結果参照)では、柘植川の調査地点としては山神橋の1地点のみの採水でしたが、今回の調査では(1)山神橋を含む計17地点で調査を行いました。採水地点は、柘植川本流としては最下流の(1)山神橋から最上流の(5)白橋までの5地点、柘植川に合流する主な支流では岩瀬川(21)(22)、河合川(31)(32)(33)、滝川(41)、下柘植川(51)、さらに河合川に合流する主な支流として丸柱川(34)、鞆田川(35)、野田川(37)、生活排水路である(11)佐那具排水路です。
 
調査結果
 まず柘植川本流を見てみましょう(図V-1)。最上流の(5)白橋から(4)物堂橋、(3)柏野橋と流下するにつれてBOD、CODともに値が上昇しています。しかしその下流の(2)円徳院橋、(1)山神橋では値は少し減少していました。支流の河合川を見ると、上流の(33)石川と下流の(31)向出橋を比べても値はほぼ変わらず、上流から高い値を示していました。鞆田川、野田川、丸柱川も河川の上流部に位置しながらも高い値を示しました。このように全体的に水質悪化している原因として、ゴルフ場排水の影響が考えられます。18ホール、面積100haの平均的なゴルフ場から排水される有機物汚濁は人口3000人分の生活排水に匹敵すると言われており、柘植川流域では6ヶ所のゴルフ場が点在するので、これらは約24000人分の汚濁負荷に相当します。実に、柘植川流域の人口と同規模以上の汚濁負荷がゴルフ場から加わることにより、河川の汚濁が進んでいると考えられます。
 また、生活排水の影響としては(11)佐那具排水路も高い値を示し、流量は少ないながらも(1)山神橋に対して約20%の汚濁負荷であることが分かりました。佐那具排水路と、柘植川本流で値が高かった(3)柏野橋については追加調査(柘植川追加調査参照)で検討を行いました。
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会