予野川調査

図II-9 予野川調査結果(年平均値)
 
調査のいきさつ
 第1期調査を行っている間に、予野川という名張川の支流に畜産業者の農場から運ばれた畜糞が畑に野積みされている所があり、汚水が流れ出しているので調査してほしいという依頼がありました。そこで、どれぐらい河川へ影響を与えているかを調査することになりました。
 
畜産廃棄物は河川を汚す
 (2)西出の地点に畜産廃棄物の浸出水が流入していますが、上流の(1)古花橋と比較して、(2)西出でBOD、COD値が高くなっていることが分かります。それから(3)車屋橋、(4)五月橋と流下するにしたがって、BOD、COD値はいずれも低くなりました。
 
畜糞からの浸出水は難分解性の窒素が多い
 地点別の全窒素とアンモニア性窒素、硝酸性窒素の割合を図II-10に示します。(2)西出を見ると、アンモニア性窒素、硝酸性窒素の占める割合は少なく、ほとんどが有機体窒素であると考えられます。水中に入った窒素化合物(タンパク質、アミノ酸など)は、有機体窒素は水中の微生物の働きで分解されてまずアンモニア性窒素になり、アンモニア性窒素は酸化されて亜硝酸性窒素、更に硝酸性窒素へと変化します(硝化)。水質の分析結果から、畜糞が野積みされても有機物の分解が進行せず、未分解の窒素がそのまま浸出水として流出していると考えられます。
 この地域は農水省のパイロットファームとして開発されたものの、実際には汚泥の捨て場や廃棄物置場にされています。また隣接地に産廃処分場もあり、これらの影響も見過ごせないものと考えられます。

図II-10 全窒素の地点別変化とアンモニア性窒素(NH4+-N)、硝酸性窒素(NO3--N)の割合
(C) 2001-2006 淀川水系の水質を調べる会